
はなの病気
はなの病気
当院では、鼻に関するさまざまな疾患に対して専門的な診療を行っています。鼻づまりや鼻水、くしゃみ、鼻血、嗅覚障害、後鼻漏などの症状が日常的によく見られます。これらの症状の背後には、副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎、花粉症、鼻中隔弯曲症など、多様な疾患が潜んでいます。当院では、それぞれの疾患に対して適切な診断を行い、治療を提供しています。
特にダニやスギ花粉症によるアレルギー性鼻炎は必要に応じて、舌下免疫療法も行っています。問診・視診・画像検査を通して、お子様からご高齢の方まで、年齢や生活背景に応じたきめ細かい診療を心がけています。
副鼻腔炎とは、鼻の周囲にある空洞(副鼻腔)に炎症が起こる疾患で、急性と慢性に分類されます。急性副鼻腔炎は、風邪などに続いて発症することが多く、主に鼻づまり、黄色や緑色の膿性鼻汁、後鼻漏、咳、頭痛などの症状が現れます。一方、慢性副鼻腔炎(蓄膿症)は、これらの症状が3ヶ月以上持続する状態で、鼻ポリープ(鼻茸)を伴うこともあります。治療は、鼻内の炎症を鎮めるために抗生剤、抗炎症薬、去痰薬などの薬物療法を基本とし、ネブライザーによる局所治療も併用します。慢性例やポリープを伴う重症例では、薬物療法を数ヶ月行い、改善が乏しい方は手術が必要となります。手術が必要な方は適切な施設へご紹介いたします。副鼻腔炎は放置すると慢性化し、嗅覚障害や気道疾患の悪化につながるため、早期の受診と継続的な治療が重要です。
子どもから高齢者まで幅広くみられる症状で、特に乾燥した季節やアレルギー疾患がある方に多く見られます。最も多いのは鼻中隔前方のキーゼルバッハ部位からの出血で、ここは血管が集中しており、ちょっとした刺激で出血しやすい部位です。軽度な鼻出血は、綿球を詰めて鼻翼を5~10分押さえることで止まることが多いですが、頻繁な鼻血や20分以上止まらない場合、大量出血を伴う場合は、鼻腔奥の太い血管からの出血が疑われ、耳鼻咽喉科での止血処置が必要です。また、高血圧や血液疾患が背景にあることもあるため、繰り返す鼻出血では精査をお勧めします。
鼻中隔とは、左右の鼻腔を隔てている壁状の構造物で、軟骨と骨で構成されています。この鼻中隔が強く弯曲している状態を鼻中隔弯曲症と呼びます。日本人の成人の約70%に何らかの程度の弯曲があるといわれていますが、多くは無症状です。しかし、弯曲が強い場合は、片側または両側の鼻づまり、頭痛、鼻出血、いびき、口呼吸、嗅覚障害などが出現します。特にアレルギー性鼻炎を合併していると、症状がさらに悪化することがあります。治療はまず薬物療法や点鼻薬などでの対症療法を行いますが、効果が不十分な場合や生活に支障をきたす重度の弯曲には、鼻中隔矯正術(鼻中隔形成術)という手術による根本治療が有効です(手術は当院では行っていません)。
嗅覚障害は、「においがわからない」「においが薄く感じる」「異常なにおいがする」などの症状を指し、日常生活の質を大きく損ないます。においを感じる仕組みに関わる部位や神経に障害が起きることで発症し、原因によって以下のように分類されます。
治療は原因に応じて異なり、気導性の場合は副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎などの原疾患の治療を行います。嗅神経性では、ステロイド点鼻薬、ビタミン剤や漢方薬など内服療法、ネブライザー療法などが行われます。中枢性の場合は、専門科での基礎疾患の治療が中心となります。
アレルギー性鼻炎は、スギやヒノキなどの花粉が原因となる季節性と、ハウスダストやダニなどによる通年性に分けられます。くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみなどが主な症状です。当院では、問診や血液検査などで原因アレルゲンを特定し、それに基づいて最適な治療を行います。治療の基本は薬物療法で、抗ヒスタミン薬、点鼻ステロイド薬、抗ロイコトリエン薬などを使用します。症状が重い方や根治を希望する方には、舌下免疫療法という体質改善療法も提供しています。これは、原因アレルゲンを少量ずつ体に慣れさせることで、アレルギー反応を抑える治療法です。花粉症は、早期に治療を始めることで症状を軽減できます。毎年春になると症状がつらいという方は、シーズン前からの治療をおすすめします。